シンポジウム よみがえった旧吉田茂邸 市民にとって再建することの意味とは 基調講演

神奈川県大磯にある旧吉田茂邸。2009年の火災によって焼失しました。今年2017年4月に再建されました。その再建を記念して湘南邸宅文化ネットワーク主催のシンポジウムがあり、参加してきました。

失われた形を取り戻す

工学院大学教授後藤治氏による基調講演です。日本では、火災によって焼失した重要文化財は、指定解除されてしまう。再建しても文化財とみなされない。再建した建物でも文化財としての価値はあるのでないかとの主張です。ドイツ ドレスデン、イギリス ヨーククミンスター、などヨーロッバでは、再建された建築物でも文化財として認められている事例を紹介されました。
歴史的建築物の再建に厳しい文化財保護法。唯一優しいのが建築基準法の中に。建築基準法の第3条四項に、文化財保護法で指定された建築物の原形を再現するために、建築審査会が認めたものには、現建築基準法は適用除外が認められるという項目です。昔の建物を再現するとなると、現在の建築基準法にあてはまらないですからね。
現在、伝統的建造物群保存地区として指定されている街並みも、再建されたからその価値を守っています。その事例として岐阜県の群上市八幡町街並み(大正の大火後の再建)、福島県南会津群南会津町前沢地区(明治40年の大火後数年で再建)をあげていました。

今日のミチガエル

火災で焼失した物は、文化財の指定から外されてしまうということに疑問を持つことがありませんでした。後藤先生の主張のように、再建して新築しても文化財として認められてもいいと思いました。
デービットアトキンソン氏の「新・観光立国」の中でも日本は、文化財の修理や整備が十分にされていないと言っていました。文化財は国民の財産であると同時に観光客を呼べるコンテンツになると述べられています。もっと文化財を活用すべきであると。吉田邸も公園を含めて、どんどん活用されれば良いなと思います。

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飯塚裕美
カエラ
飯塚裕美(蛙号 カエラ)
お庭めぐりスト
カエルグッズ大好きのカエラー 樹木医
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