江戸庶民の庭–庭園史に書かれなかった、江戸の下級武士、町人の庭を探る 時代考証家 山田順子さん[講演会参加記録]

江戸時代の大名庭園は、現代にも残っている庭もあるし、史料もあったりします。庶民の庭となると、どんなのであったのか分からない。どんな庭であったのか興味あります。

時代劇で研究結果を画像にする時代考証のお仕事

講師の山田順子さんはテレビドラマの時代考証のお仕事をされています。白髪で小柄ながら、マイクは、いらないと通るお声で話されました。
当時の研究結果をもとに画像を作るのですが、ウソもあるそうです。ドラマ「JIN–仁–」から植栽セットの紹介をして下さいました。
吉原 鈴屋 中庭
中庭の植栽 ディスプレイガーデンと同じ手法で植物を置いてあります。
吉原鈴屋 植栽
実際にあった図を参考に美術の方が図面を作成して、上記のセットが出来上がりました。勉強される美術担当の方だったので、実際の吉原の店内に近づけようとしたのです。
江戸吉原図
ベテランになると、過去の使い回しで、史実と全く違っているのでも作ってしまうそうです。
ヒロインの橘咲(さき)は下級旗本の娘の設定です。その家を原作の漫画から想像した間取りがこちら
橘家の間取り
山田さんはあり得ない間取りと指摘します。正門から入ると右手に玄関があります。これが間違い。お客様は門から真っ直ぐ入れるようになっていないといけません。門から曲がって玄関に入るのは非礼にあたります。
また、客間から見える所に木々を植え、見せる植栽にして、奥の木戸で仕切った所に畑を作ります。JINのセットでは客間から見える所に家庭菜園が作られていましたが、これも間違い。
正しい武家屋敷の間取り
武家屋敷まどり
セットの家庭菜園 中庭に家庭菜園があります。
橘家中庭
町奉行与力都築家の屋敷 こちらの史料でも、玄関は門の正面に。手前の座敷まえには、石も使った庭があります(図中の赤丸)主人の座敷の前には、花壇があります。(図中緑の丸)一番奥の隠居所の前には畑、果樹があります。(図中青の丸)
都築家間取り

江戸城下、商人、長屋の暮らし

寛永期に描かれた江戸図屏風に描かれている商人の町、日本橋の様子です。建物が口の字に建っていて、真ん中が開いています。そこに木が植わっているようです。真ん中の空間は会所地。周りの建物の共有地です。共有地には、井戸があり、木も植わっていたようです。
江戸図屏風
江戸の町
これが時代が下ってくると、人口が増えてきたので、住む家を増やさないといけません。共有地には貸し屋(長屋)が建てられていきます。庭は無くなってしまいます。鉢を飾るくらい。共有の通路が庭がわりになり、碁や将棋、夕涼みの場となりました。
長屋の木戸口
旗本屋敷も江戸後期になると、庭をつぶして、貸し家を建てて現金収入にしたそうです。今と変わりないですね。

感想

ドラマの裏話も聞けて、面白かったです。時代考証で植物のことまで詳しい方は珍しいのではないでしょうか。
得意分野の庭と大好きな江戸時代のお話しということで、駆け込みで参加しました。経歴を見ると、なんと山田さんは、大学の先輩でした。講演会を聞きにいって大学の先輩が講師だったのは初めてです。こんな先輩もいらっしゃるんだな〜。