江戸のサムライの日常を知る[サムライ–天下太平を支えた人びと]江戸東京博物館 [鑑賞レポート]

サムライというと、武士道といった精神的な志高い姿を思い浮かべるのですが、そればかりでない日常も紹介されていました。

江戸の始まりは土木事業者

江戸幕府が始まると、天下普請(てんかぶしん)として、江戸城、駿府城、名古屋城、大阪城の築城に大名達は動員されました。お城だけでなく、街道や河川などのインフラ整備も。戦闘要員の武士から、土木技術者、施工管理者へ。全く違う分野だと思うのですが、できてしまうんですね。時代の変化で必要とされる技術も変わって、対応できてしまうサムライは多才です。

江戸勤番はつらいよ

江戸時代になり、戦闘要員の必要がなくなると、サムライ達の仕事は、役人の仕事になっていきます。今でいう公務員。
江戸勤番とは、参勤交代で地方から藩主についてきて、江戸に暮らす家臣達のこと。ほとんどが単身赴任者です。
明治になってから、久留米藩有馬家の家臣達が、江戸勤番の様子を絵師に依頼して描かせた「久留米藩士江戸勤番長屋絵巻(くるめはんしえどきんばんながやえまき)」
普段の生活の様子が描かれていて面白いかった。勤番長屋は今で言う官舎。2階建てが連なる長屋の建物だったり、小さな坪庭のような場所にアサガオなどの植物を育てて観賞している様子だったり。
なかでも、一番面白かったのは、藩主の江戸勤務延長が決まり、国元へ帰れないと分かった時の宴会の様子が描かれた部分。帰れない鬱憤を晴らすべく、飲んで暴れています。着物ははだけて上半身は裸になって飲んでいます。戸板が倒れていたり、土間に転がり落ちた徳利も割れてしまっています。「やってらんねーよ!」という声が聞こえてきそうでした。現代のサラリーマンの姿と同じです。

火災、水害対策もお仕事

木造の家屋が建ち並ぶ江戸の町は火災が多かった。火災の消火活動に携わったのが幕府直轄の定火消し(じょうびけし)や大名火消しのサムライ達。火事装束の兜が展示してありました。龍の装飾が付いた立派な兜です。こんな兜をかぶっているお侍は、陣頭指揮をするだけですよね。
火事消火に役職があるのは知っていましたが、水害対策もとられていたのは初めて知りました。幕府、町奉行所は、鯨船(くじらぶね)という快速艇を持っていました。火災時には退避者の渡川を援助して、水災時には流出物の撤去に用いられました。

ベストセラー作家もサムライ

江戸後期の著名戯作者15名が紹介されている書物「戯作者考補遺(げさくしゃこうほい)」が展示してありました。この15名のうち8名がサムライ出身者。作家というと民間人のイメージですが江戸時代は役人であるサムライが担っていたのですね。平和な時代になり、武術よりも学問に重かれたからでしょう。

遠山の金さんと大岡越前

時代劇でおなじみ「遠山の金さん」のモデル遠山金四郎景元と「大岡越前」のモデル大岡忠相(おおおかただすけ)の縁の物も展示してありました。時代劇でおなじみと言っても、若い人は知らないですよね。そんな時代劇がテレビで放映されてたのなんて。

幕末は写真が多く残されているので姿がよくわかる

幕末になると、外国人によって撮影されたサムライの写真が残っています。
ロシアで撮影された「文久遣欧使節団肖像写真」では、24人の使節が一人づつ写真におさまっています。チョンマゲに羽織袴で帯刀している姿はザ・サムライという出で立ちです。白黒写真ながら、袴の柄がそれぞれ違っていて美しいです。

江戸歴史検定で勉強した知識の確認

先月、受検した江戸歴史文化検定で知識を確認できる展示がいくつかあって、良かったなと思いました。定火消しのことや、武士の試験、学問吟味や、五位以上の武士の礼装が大紋など。テキストだけでなく実物をみると知識が定着します。

展覧会情報

会場東京都江戸東京博物館1階特別展示室
開催期間2019年9月14日~2019年11月4日
開館時間9: 30 – 17: 30
土曜は19時30分まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日月曜日
住所 東京都墨田区横網1–4–1