日本庭園の通説と誤解 第1回 揺らぐ日本庭園の年代観

京都造形芸術大学藝術学舎での尼﨑博正先生の講義をまとめたものです。(2018年1月17日)

庭園は、造った記録や史料が少ないです。あったとしても、現況は、造った当初から形を変えてしまっている事が多く、文献と実物の相関はわからないのです。

重森三玲と森蘊(おさむ)による庭園史研究

重森三玲は、全国約500の庭園調査をして、昭和14年に「日本庭園史図鑑」36巻を完成させました。その調査方法は、庭を実測して、写生と写真を使って現況の記録と文献調査を行うものでした。この調査によって、作庭年代の鑑別と日本庭園の基礎学を確立したとしています。重森氏独自の庭園観による庭園史でした。
森蘊は、文献調査に地形測量、発掘調査という実証的研究手法で、重森とは違う方法で研究にあたりました。発掘調査は、庭園史研究を大きく前進させるものでした。今日の庭園史研究もこの手法をとっています。発掘調査無しには、歴史的庭園の整備、復元はあり得ないとまでなっています。

発掘調査により作庭年代が名勝指定時と変わった事例

名勝兵主神社庭園 名勝指定時 室町時代 →平安時代に築造、明治期に改変
名勝阿波国分寺庭園 名勝指定時 桃山時代 →江戸時代後期
 

講義の感想

先生は「何でも疑ってみなさい」とおっしゃいます。歴史も新しい技術で年代が特定されたり、新たな文献が発見されたりして変わります。庭園史も新しい事実がわかることは、楽しいです。