伝統文化といいながら意外な起源–盆栽の誕生 依田徹著

ヨーロッパの方々にも人気の盆栽。海外の愛好家にも日本の伝統文化として、受け止められています。伝統文化というからには、かなり古くからある文化なのだと思っていました。

現在、目にする盆栽は、年月を経た古樹の趣を楽しむものになっています。険しい山奥に立っていた樹木の力強さを表していたりします。自然な樹木の再現を目指しています。このような盆栽が誕生したのが、以外と明治期、近代になってから、とこの本で知りました。
盆栽は、江戸時代に始まったのだろうと思っていました。江戸時代は、園芸が盛んだったのです。江戸時代の盆栽は、「蛸作り」という作り方が主流でした。蛸の足のように幹や枝を曲げ作り上げます。幹と枝がいかに曲がっているかが鑑賞ポイント。お手本通りに作られた木が良い木とされました。これは現代の盆栽と違います。
鎌倉時代には、「鉢木」と称される鉢植えがありました。素焼きの鉢に曲がった幹の松や梅が植えられました。武士が楽しんでいたようです。室町時代では、石に草木を植え付ける「盆山」とよばれる鉢植えがでてきます。足利将軍家や織田信長にも愛好されました。
鉢木が蛸作りにつながり、盆山は「石付き盆栽」として盆栽の一部となりました。
明治期は、最初に西洋文化の移入期があり、後半は、国粋主義へと変わっていきました。この流れの中で盆栽も伝統文化として変えられていきました。海外で人気があるのは、自然風な景色を求める盆栽になったからでしょう。

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飯塚裕美
カエラ
飯塚裕美(蛙号 カエラ)
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