桜の多様性と再生について 勝木 俊夫先生[研修会参加レポート]

勝木先生はクマノザクラを発見し、新種として一昨年学会に発表された方です。また、森林総合研究所多摩森林科学園に勤務されていてサクラの研究もされています。サクラについてどんなことを教えてくださるのか楽しみでした。

日本の野生種

まずはサクラの基本、野生種をおさらいです。公園や街なかで園芸種はよく見かけるのですが、野生種については意外と知らないんですよね。
ヤマザクラ
本州、四国、九州に分布して東北から北海道に分布しない。
花は純白で、花と同時に赤い新芽がでる。無毛。
丘陵地に自生するので、他の樹木が落葉して、葉がない時期に花が咲くので目立つ。薪炭林の雑木林の中で株立ちになっている事が多い。
カスミザクラ
北海道から九州まで分布。冷温帯が中心。朝鮮から中国まで分布しているので、大陸からきたのかもしれない。
花はほぼ純白で、芽は褐色から黄緑色。花柄や葉柄に毛がある

ヤマザクラと間違われやすい。大きな違いは開花時期。ヤマザクラより2週間遅い。遅く咲くので、二次林の木々が芽吹く時期と重なる。新緑に紛れる。

エドヒガン

ほぼ日本全国に分布。花色はピンクがかる。ヤマザクラより早く、彼岸の頃に咲く。花と一緒に葉はでない。鑑賞対象として優れている。ソメイヨシノの一方の親。

オオシマザクラ

大島、伊豆半島から房総の海沿いに分布。本来は伊豆半島と大島のみだったのでは?本州にあるのは、人が持ち込んだのではないか。花は大型。花数も多い。葉は伸びると赤みがなくなり、緑色に。

マメザクラ

中部地方に分布。樹高が2〜3mと低木なため、庭木や盆栽に利用されてきた。マメザクラとの自然交雑種

ホシザクラ マメザクラ×エドヒガン 萼片が五方性 多摩丘陵、町田

ヤブザクラ マメザクラ×エドヒガン 彼岸の頃に咲く 多摩丘陵〜横浜の丘陵

クマノザクラ

紀伊半島の3県のみ。熊野川の流域に分布。

ヤマザクラ、クマノザクラ、カスミザクラの違い

花序のつくり 1つの冬芽から出てきた1つの花序ヤマザクラ 3  クマノザクラ 2  カスミザクラ 3

苞 ヤマザクラ 小さい クマノザクラとカスミザクラ 幅広

葉 クマノザクラ葉身が細い。クマノザクラの開花期は早い。

観賞用に使い勝手が良いのではないか。花色はピンクがかっていて、花の時期に葉はほとんど伸びない。ソメイヨシノと遜色ない花木。ソメイヨシノのかわりとして増やしたい。

サクラの管理

目的をはっきりさせてから管理方針を決める
所有者、管理者、利用者など立場が違うと管理の仕方が変わってくる。関係者の意見の一致が難しい。
文化財のサクラ→景観よりも個体の維持が目的。
街路樹のサクラ
ソメイヨシノは、古くなると枯れ枝が多くなる。強剪定をすると腐朽がすすんでしまう。高い位置での剪定は無理がある。他の樹種に切り替えるなどの管理が必要。
二次林のクマノザクラ→生態系の中のサクラ。保全が目的
目的にあった方向にコストがかけられるか。
植栽を計画する場合は、危険に対するデメリットを考えて、40年くらいで現実的な伐採・植え替えの選択肢を考えておく。

感想

管理が悪いと木が弱ってしまう、腐朽が進んでしまうのは、サクラに限らずどんな樹木でも同じ。ソメイヨシノは特に多く植えられ、名所となっているところが多いので、伐採というと反対する方々が多くいます。別の品種への植え替え更新など理解が進んでいくと良いなと思いました。