伝統的な手法で仕立てられた菊の数々を見ることができます。神社の境内や駅前広場などで行っている菊花展は見たことがありました。「なんだ菊か〜」と思っていたのですが、良い意味で裏切られました。
御苑の中で、日本庭園のエリアで展示されています。七つの小屋(上屋うわや)があります。順路通りにめぐると効率的に見られるようになっています。
日本庭園のエリアの位置
日本庭園内の展示位置
懸崖(けんがい)作り花壇
崖から枝垂れるように仕立てている菊です。一鉢に一本の小菊から複数の枝を出して花を着かせています。まだ蕾が多かったですね。
展示の仕方も素敵です。流れの側に展示しています。崖から枝垂れる様子を現すのに石組みが前にあります。上屋(うわや)の屋根の立派なこと。竹を組んであり、庇まであります。竹がきれいなので、昨年の使い回しではなく今年新しく作っています。
鉢の下には、松葉が敷き詰めてあります。日本庭園で使われる手法です。
伊勢菊・丁字菊・嵯峨菊花壇
名前のとおり、伊勢菊は伊勢地方(三重県松阪)で、嵯峨菊は京都の嵯峨地方で発達した菊です。
丁字菊は、花の中心部が盛り上がって咲く菊です。
こちらも上屋が立派です。
大作り花壇
一株から分枝して数百輪単位の花をつける作り方です。1年がかりで作るそうですが、どうやったらこんなにできるの?と不思議です。しかも分枝した先の花芽が大きさも咲く時期も揃っています。すごい技術です。これは新宿御苑独自の様式だそうです。
根元は一つ
江戸菊花壇
江戸菊は江戸時代に発達した菊。花の変化を鑑賞する菊なんだそうです。花が咲いてから花びらが変化していくのだとか。どんな変化なのかは、時期をずらして花の咲き具合を見ないといけませんね。
一文字菊・管物(くだもの)菊花壇
一文字菊は、一重咲きの大輪菊。御紋章菊ともよばれているそうです。確かに菊の紋章の形をしています。管物菊は、花びらが筒状になっていて放射状に咲く大輪菊。
黄色の菊が一文字菊で、白い菊が管物菊
肥後菊花壇
肥後(熊本)地方で作られた古典菊。武士の精神修養として発達したそうです。菊の栽培が精神修養になるのですね。趣味ではなく。こちらの栽培方法も飾り方も江戸時代に確立した秀島流の様式だそうです。武術や生け花の流派のように菊の仕立て方に流派があるんですね。
大菊花壇
菊花展では、よく見る仕立て方。私は伝統菊というとこの花を思い浮かべます。ボリュームがあって映えます。
こちらは、新宿御苑独自の様式だそうです。「手綱植え」といって、神馬の手綱模様に見立てているそうです。大菊を黄・白・紅の順に植え付けて全体の花が揃って咲く様子を鑑賞するのだそうです。
ゲート菊
菊花壇の入り口に、菊でゲートを作ってあります。花がもっと咲いてくると美しいゲートになりますね。
新宿門から入ってすぐにあるゲート
菊花壇展中央入口のゲート
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飯塚裕美(蛙号 カエラ)
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